メールとチャットの本文を、項目ごとの列に分けて表にするAI整理

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メールとチャットの本文を、項目ごとの列に分けて表にするAI整理

メールやチャットに散らばった依頼、注文、問い合わせを、列に分けて扱える形へ整える手順です。文章を読んで必要項目を拾う作業を、AIに抽出ルールとして渡せるようにします。最後にTSVで出せば、表計算ソフトへ貼り付けたときに列が崩れにくくなります。

まず決めるのは列名

AIに長い本文を渡して、いい感じに表にして、と頼むと、見た目は整っていても使いにくい結果になりがちです。理由は単純で、何を列として扱うかを人間が決めていないからです。

たとえば営業チャットから案件を拾うなら、最初に列名を決めます。受信日、発信者、顧客名、要件、希望納期、金額、対応担当、未確定事項。このように列を先に置くと、AIは文章の要約ではなく抽出作業として動きやすくなります。

列名は多すぎると欠落が増えます。最初は七つ前後に絞り、あとで必要になった列を足すほうが安定します。本文にない情報は作らせず、不明と入れるルールも先に書いておきます。列名を決めるときは、あとで並べ替えたいもの、絞り込みたいもの、担当者に確認したいものを優先します。感想や背景まで列にすると、抽出ではなく要約に寄ってしまいます。

方法Aと方法Bで迷った結果

私は最初、方法AとしてMarkdown表を使っていました。チャット画面では見やすく、上司に途中確認を頼むときも説明しやすかったからです。ただ、表計算ソフトに貼る段階で区切りが崩れたり、罫線用の記号まで混ざったりして、後処理が増えました。

方法BはTSVです。TSVは列と列の間をタブで区切るだけなので、人間の目には地味ですが、貼り付け先で列になりやすい形式です。結論として、確認用は方法A、実作業で貼り付ける出力は方法Bに分けるのが扱いやすいです。画面で相談する段階ならMarkdown表、ファイルに取り込む段階ならTSV。ここを混ぜないだけで、作業後の修正量がかなり変わります。

真壁コウとして一度やらかしたのは、確認用のMarkdown表をそのまま台帳に入れたことです。列がずれているのに気づかず、未確定事項の列に金額が入っていました。翌朝、数字だけ見て資料を作った同僚に呼ばれ、原因をたどる時間で午前が削れました。それ以来、見せる表と貼るTSVを分けています。

そのまま貼らないための伏せ方

社内データをAIに渡す前に、固有名詞と金額は置き換えます。顧客名の株式会社東都食品はA社、担当者名の佐伯美咲さんは担当者A、案件名の物流拠点刷新プロジェクトは案件Xにします。金額は厳密な数字が不要なら、4,812,600円を約480万円、または金額Aに置き換えます。

置換はテキストエディタ、Excel、Word、Googleドキュメントなどの検索と置換で行います。ブラウザの履歴画面を開くショートカットを置換機能として使う前提にはしません。

伏せても再識別のリスクは残ります。たとえば珍しい案件名、日付、金額の組み合わせだけで相手が推測できることがあります。目的は完全な安全宣言ではなく、渡す情報を減らしてリスクを下げることです。

コピペできる抽出プロンプト

次のプロンプトは、メールやチャットの本文から行を作るための型です。末尾に対象テキストを貼り、列名だけ業務に合わせて差し替えます。

以下の本文から、案件ごとに情報を抽出してください。

出力はTSVにしてください。Markdown表、箇条書き、説明文は出さないでください。

列名:
受信日
発信者種別
顧客名
要件
希望納期
金額
対応担当
未確定事項

抽出ルール:
・本文にない情報は不明と書く
・一つの案件を一行にする
・同じ案件の追記は同じ行にまとめる
・金額は本文の表記を保つ
・判断に迷う内容は未確定事項に入れる
・最初の行にヘッダーを入れる

対象テキスト:
[ここにメールやチャットの本文を貼る]

期待する出力は次のようなTSVです。列の間はタブで区切ります。

受信日	発信者種別	顧客名	要件	希望納期	金額	対応担当	未確定事項

2026/06/10 営業 A社 見積書の再送 2026/06/14 約480万円 担当者A 支払条件は確認中
2026/06/11 サポート B社 不具合調査の依頼 不明 不明 担当者B 対象環境の記載なし

失敗しやすい本文と見直し方

具体的な失敗パターンは、同じ本文に注文日、希望納期、社内回答期限が混ざっているケースです。列名を日付だけにすると、AIがどの日付を入れるべきか迷います。希望納期を列にしたいなら、列名を希望納期にし、注文日は要件欄に含めない、と明記します。

もう一つは、会話の途中で前提が変わるケースです。最初はA社向けの話だったのに、途中でB社の補足が入ると、AIが一つの案件としてまとめることがあります。この場合は、顧客名が変わったら別行にする、同じ顧客でも要件が別なら別行にする、という分割条件を足します。

手順は次の順番で回します。

1. 抽出したい列を七つ前後に絞る。
2. 固有名詞と金額を必要な粒度で伏せる。
3. プロンプトに本文を貼り、TSVだけを出させる。
4. 一行ずつ元本文と照合し、不明や未確定事項を確認する。
5. 列のずれが出たら、列名か抽出ルールを直して再実行する。

出力後は人間が一段だけ確認する

AIの出力は、完成データではなく下書きの表として扱います。特に金額、日付、顧客名、担当者名は、元の本文と照らして確認します。AIが自信ありげに空欄を埋めることがあるため、不明を不明のまま残すルールが効きます。

確認の観点は多くありません。行数が本文中の案件数と合っているか、金額が別の顧客に移っていないか、未確定事項が勝手に確定扱いになっていないか。この三つだけでも見れば、表として使い始める前の大きなズレを拾いやすくなります。

慣れてきたら、よく使う列名と抽出ルールを自分の業務用テンプレートにします。今日はまず、直近のメールを十件だけ伏せて、TSVで抜き出してみます。うまくいかなかった行だけ、次のプロンプト修正の材料にします。