月次Excelの形式違いはAI用の対応表から片づける
月次集計の締め日前になると、各拠点からExcelが届く。A拠点は「商品名」、B拠点は「品目」、C拠点は「SKU」で、同じ意味の列なのに名前も順番も違う。数字をまとめたいだけなのに、整形で半日が消える。この記事では、形式がバラバラな月次ExcelをAIに渡す前に、項目の対応表で統一する手順を書き残す。
月次集計が終わらない理由は列名の推測にある
形式が違うExcelを一つにまとめるとき、問題はファイル数よりも「同じ列かどうかを誰が判断するか」にある。人間が目で判断しても疲れるし、AIに丸投げしても推測が混ざる。
| 起きていること | 集計で困ること |
|---|---|
| 「売上日」「日付」「Date」が混在する | 同じ日付列として扱ってよいか確認が必要になる |
| 「単価」「販売価格」「税込単価」が混在する | 税込と税抜を足してしまう危険がある |
| 「数量」「個数」「Qty」が混在する | 意味は近いが単位が違う場合を見落とす |
| 列の順番が拠点ごとに違う | コピーして貼るだけでは列がずれる |
AIは列名の意味を読むのが得意だが、実務で怖いのはその得意さである。「たぶん同じだろう」と判断して、それらしい統合表を作ってしまう。月次集計では、まず列の対応を人間が確認できる形にする。
AIに渡す前の準備
AIに渡すのは、最初から全データではなく、まず列名と少量のサンプルだけにする。準備は次の4つで足りる。
- 最終的な集計表の列名:例として「年月」「拠点」「商品コード」「商品名」「数量」「売上金額(税込)」のように、最後に欲しい列を決める。
- 各Excelのヘッダー行:各ファイルの1行目だけをコピーする。シート名も「A拠点」「B拠点」のように付けておく。
- 意味が曖昧な列のサンプル:税込か税抜か、数量かケース数かなど、判断しにくいものは2、3行だけ例を添える。
- 伏せる情報:社名は「A社」、人名は「担当者1」、実金額は「9999」、商品名は「商品A」のようにダミー化する。
伏せれば安全と断定できるわけではない。外部AIに入力してよい情報の範囲は、会社の規程や契約条件を先に確認しておくこと。取引先名、個人名、未公開の売上は、列名だけで済むなら本文データを渡さない。
対応表を作ってから月次Excelを統一する手順
- 集計後の列名を先に決める。ここが曖昧だと、AIも判断できない。
- 各Excelからヘッダー行だけを取り出し、ファイル名または拠点名とセットで並べる。
- 次の指示文をAIに渡し、対応表だけを作らせる。
形式がバラバラな月次Excelを集計用の形式に統一したいです。
まず、各ファイルの列名を最終フォーマットへ対応づける表を作ってください。
# 最終フォーマットの列名
年月
拠点
商品コード
商品名
数量
売上金額(税込)
備考
# 各ファイルのヘッダー
【A拠点】
売上月, 店舗, SKU, 品名, 個数, 金額(税込), メモ
【B拠点】
Month, Branch, 商品番号, 商品名, Qty, Sales, コメント
【C拠点】
対象年月, 拠点名, コード, 品目, 数量, 売上額, 備考欄
# 出力形式
次のMarkdown表で出力してください。
| 最終フォーマット | A拠点の列 | B拠点の列 | C拠点の列 | 確認事項 |
# ルール
- 推測で埋めないでください。不明な対応は「要確認」と書いてください。
- 税込/税抜、単位、日付形式など集計前に確認すべき点は「確認事項」に書いてください。
- 対応しない列がある場合は、無理に割り当てず「対応なし」と書いてください。
- この段階では集計表を作らず、対応表だけを出力してください。
- 出てきた対応表を人間が確認する。「Sales」は税込なのか、「Qty」は個数なのかケース数なのかを、元Excelや担当者に確認する。
- 対応表を直してから、統一表の作成をAIに依頼する。
次の対応表に従って、貼り付けたデータを統一フォーマットに変換してください。
# 対応表
【ここに確認済みの対応表を貼る】
# 元データ
【ここにダミー化した月次データを貼る】
# 出力形式
TSVで出力してください。列順は次の通りです。
年月, 拠点, 商品コード, 商品名, 数量, 売上金額(税込), 備考
# ルール
- 推測で空欄を埋めないでください。不明な値は「要確認」としてください。
- 元データにない列は空欄にしてください。
- 行を省略せず、入力行と同じ件数で出力してください。
- 金額は半角数字、カンマなしにしてください。
- 日付や年月は YYYY/MM 形式に統一してください。
- TSVをExcelの空きシートに貼り付け、列ずれがないか確認してから集計用ファイルへ移す。カンマ区切りは金額や備考内のカンマで崩れることがある。
検算・確認
AIの出力は、見た目が整っていてもそのまま採用しない。確認する場所を決めておく。
まず、行数を見る。A拠点100行、B拠点80行、C拠点120行なら、統一後は見出しを除いて300行になる。合わない場合は、途中で省略されたか、空白行を除外された可能性がある。
次に、金額と数量の合計を元ファイルごとに突き合わせる。統一後の表で拠点別にSUMを出し、元Excelの合計と一致するか確認する。税込と税抜が混ざっている場合は、対応表の確認事項に戻る。
最後に、固有名詞と「要確認」を見る。商品コードが商品名に置き換わっていないか、備考の「返品」「取消」「調整」が消えていないかを確認する。「要確認」が残っている行は、集計前に担当者へ戻す。
失敗例
失敗例:AIに最初から全ファイルを渡して、売上金額が数パーセントずれた。 原因は、A拠点の「金額」が税込、B拠点の「Sales」が税抜だったことだ。AIはどちらも売上金額として同じ列に入れ、合計表まで作ってしまった。対応表を先に作らせ、「税込/税抜が不明な列は要確認」と指示してからは、集計前に確認できるようになった。
| 症状 | 直し方 |
|---|---|
| 合計金額が元ファイルと合わない | 拠点別にSUMを出し、税込/税抜、返品、値引き列の扱いを対応表へ戻って確認する |
| 行数が減っている | 「行を省略しない」「入力行と同じ件数」と指示し、件数が多い場合は拠点ごとに分ける |
| 商品コードが商品名に変わっている | コード列と名称列を別列として対応表に明記し、推測変換を禁止する |
| 空欄に前行の値が入っている | 「元データの空欄は空欄のまま」とルールに追加する |
形式がバラバラなExcelの集計では、AIに「まとめて」ではなく「対応表を作って」と頼むほうが速い。人間は数字を写す係ではなく、対応表の確認係に回る。
関連して、表記揺れそのものをそろえる作業は表記揺れだらけのExcelは集計前にそろえるが近い。集計後に数字が合わない原因を探す場合は数字が合わない夜、差額の原因だけを探したいを使う。
明日打つ一手
- 今月届いたExcelを3つ選び、各ファイルのヘッダー行だけをメモに貼る。
- 最終的な集計表の列名を7列以内で書き出す。
- 上の指示文で対応表を作り、「要確認」と出た列だけ元ファイルで確認する。