白紙のスライドをAI用の構成メモから始める

資料作成ChatGPT業務効率化アウトプット思考法生成AI
白紙のスライドをAI用の構成メモから始める

明日の会議までに資料の構成案が必要なのに、PowerPointを開いたまま手が止まる。数字や経緯は分かっているのに、1枚目に何を書くか、何枚に分けるか、どこで結論を出すかが決まらない。この記事では、AIにスライドの叩き台を作らせ、資料作成の構成を先に固める手順を書き残す。

資料作成が止まる理由は「中身」と「見せ方」を同時に考えるから

スライド作成が終わらない原因は、文章を書く速さだけではない。多くの場合、次の作業を同時に抱えている。

詰まる場所起きていること
目的が曖昧報告なのか、承認依頼なのか、相談なのかが混ざる
読み手が曖昧部長向けなのか、現場向けなのかで必要な粒度が変わる
順番が曖昧背景、現状、課題、提案、依頼事項の並びを毎回考える
見た目に逃げる構成が決まる前に色、フォント、図形を触り始める

PowerPointやGoogleスライドを先に開くと、本文を考えながらレイアウトも気になる。構成を決める前に図やタイトルで迷い、肝心の話の筋が後回しになる。

資料作成の最初の仕事は、スライドを作ることではない。読み手に何を判断してほしいかを決め、その判断に必要な順番へ材料を並べることだ。この「構成フェーズ」だけをAIに先に手伝わせると、白紙の前で固まる時間を短くできる。

AIに渡す前の準備は4つだけ

AIへいきなり「資料を作って」と頼むと、もっともらしいが使いにくい構成になる。先に、次の4つをメモにする。

  1. 資料の目的:進捗報告、予算承認、方針相談、社内周知など、1つに絞る。
  2. 読み手と場面:誰が読むか、会議で説明するのか、メール添付で読まれるのかを書く。
  3. 結論または依頼事項:「A案で進めたい」「追加費用9999円の承認がほしい」のように1文にする。
  4. 使える材料:数値、経緯、課題、決定済み事項、未確定事項を箇条書きで並べる。

社名、人名、顧客名、案件名、金額、契約条件、未公開の数字は、必要に応じて「A社」「B部長」「案件X」「9999」のようにダミー化する。伏せれば安全と断定できるわけではないため、外部AIに入れてよい情報の範囲は会社の規程を先に確認すること。

材料はきれいな文章でなくてよい。会議メモ、チャットの断片、Excelの見出しを箇条書きにすれば足りる。AIに渡す前に完璧な下書きを作ろうとすると、そこでまた止まる。

スライド構成をAIで作る手順

  1. スライドソフトを閉じる

先にPowerPointを触らない。チャット画面とメモ帳だけで、構成の骨組みを作る。

  1. 目的、読み手、結論、材料を貼る

次の指示文を使い、分かっていることだけを入れる。未定の項目は未定と書く。

次の材料をもとに、社内会議用スライドの構成案を作ってください。

# 資料の目的
【例:部長会で追加費用の承認を得る】

# 読み手と場面
【例:部長3名。会議で5分説明する】

# 先に伝えたい結論
【例:A案で進め、追加費用9999円を承認してほしい】

# 材料
【会議メモ、数字、課題、決定事項を箇条書きで貼る】

# 出力形式
表で出力してください。
列は「スライド番号」「タイトル」「このページで言うこと」「入れる材料」「確認が必要な点」にしてください。

# ルール
- 6枚以内にしてください
- 材料にない事実や数字は推測で埋めないでください
- 不明点は「確認が必要な点」に書いてください
- デザイン案ではなく、話の順番を優先してください

  1. 出てきた構成を人間が削る

AIの案は多めに出る。似たスライドを統合し、会議で読まれない背景説明を削る。5分説明なら4〜6枚を目安にする。

  1. 読み手別に並べ替えを依頼する

構成がぼんやりしているときは、同じ材料で別案を出させる。

上の構成案を、読み手が短時間で判断できる順番に並べ替えてください。

# 優先すること
- 最初の2枚で結論と判断事項が分かること
- 背景説明は必要最小限にすること
- 各スライドの役割が重複しないこと

# 出力形式
修正版の構成表を出してください。
最後に「削ったほうがよい内容」と「追加で確認すべき内容」を箇条書きで出してください。

# ルール
- 材料にない成果、原因、金額を推測で補わないでください
- 判断できない部分は断定せず「要確認」としてください

  1. 構成が固まってからスライドに写す

ここで初めてスライドソフトを開く。1枚ごとにタイトルと要点だけを先に置き、図や色は最後に回す。

AIの出力は3つの観点で検算する

AIが出した構成は、そのまま採用しない。次の順に確認する。

まず、スライド枚数を見る。5分説明なのに10枚あるなら多すぎる。次に、固有名詞と数字を見る。A社、案件X、9999円などが勝手に増えていないか確認する。最後に、各スライドの役割を見る。「背景」と「現状」が同じことを言っているなら統合する。

確認するときは、構成表の横に「採用」「修正」「削除」の3列を足すとよい。行ごとに判断できる。迷う行は「修正」にして、AIへ「このページだけ短くして」と戻す。

実際に崩れたパターンと直し方

失敗例:AIがもっともらしい原因を作った。 進捗遅延の報告資料で、材料には「確認待ちが長い」としか書いていなかったのに、AIが「関係部署との連携不足」と原因を断定した。会議でそのまま使えば、別部署の責任に見える危ない表現だった。指示文に「原因が材料から断定できない場合は、原因候補ではなく確認事項に入れる」と足し、原因スライドを「現在分かっている事実」と「未確認の点」に分けた。

症状直し方
立派だが長すぎる構成になる枚数、発表時間、読み手を指示文に入れる
結論が最後まで出てこない「最初の2枚で結論と判断事項を書く」と指定する
事実にない数字や原因が入る「推測で埋めない」「要確認に分ける」を明記する
スライドタイトルが抽象的になる「タイトルはそのページの結論文にする」と追加する

AIは、空気を読んで不足を補うように見えることがある。しかし資料作成で大事なのは、きれいに埋めることではなく、未確認の穴を穴として残すことだ。人間は、その穴を確認する係に回る。

構成の前後にある作業も分けておく

スライド構成に入れる材料がチャットや会議メモに散らばっているなら、先に走り書きメモは会議前にAIで論点へ整えるのように、論点だけを取り出す工程を挟むとよい。決定事項や依頼事項を案内文に直す段階では、会議の決定事項を「周知用の案内文」に書き換えるも使える。

資料作成を1つの大きな作業として扱うと、どこで止まっているのか分からなくなる。材料集め、構成、本文、見た目、確認を分ける。AIに任せるのは、白紙を構成表に変えるところまでで十分だ。

明日打つ一手

  1. 明日作る資料を1つ選び、目的、読み手、結論、材料を箇条書きで10行だけ書く。
  2. 上の指示文に貼り、6枚以内の構成表を出させる。
  3. 出てきた表に「採用」「修正」「削除」を付けてから、スライドソフトを開く。