会議とチャットに散らばった予定を、一つの工程表にまとめる方法

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会議とチャットに散らばった予定を、一つの工程表にまとめる方法

「例のプロジェクト、進捗どうなってる? ざっくりでいいから工程表見せて」

部長にそう言われたとき、手元にあるのは、先週の会議メモと、チャットツールに散らばった田島からの断片的な報告、そして「いい感じにやっといて」という指示だけ。

Teamsの検索窓に「工程」「予定」「期限」と打ち込んでも、目的のやり取りはなかなか出てこない。キーワード検索は、相手が使った言葉に依存しすぎるからです。相手が「あ、これ〇日までにやっときます」と書いたなら、キーワードは「〇日」や「やっときます」になってしまい、「期限」ではヒットしません。

結局、過去のログを一つずつ遡り、メモを読み返し、頭の中でパズルのように組み合わせていく……。この作業だけで、気づけば1時間、2時間が溶けていく。

この記事では、そんな「情報の散らばり」をAIに丸投げして、Excelにそのまま貼り付けられるレベルの工程表(タスクリスト)に変換する手順をまとめました。

情報を「捨てる」のではなく「抽出」するための準備

いきなりチャットの履歴を丸ごとAIに放り込むのはおすすめしません。情報が多すぎると、AIは重要なタスクを見落としたり、あるいは「お疲れ様です」といった雑談までタスクとして拾ったりします。

まずは、材料となる情報を集めます。

ここで、一番気をつけなければならないのが「データの扱い」です。

社内データを渡す前の「伏せ方」のルール

会社によっては、外部のAIに社内情報を入力することが禁止されている場合があります。必ず自社のセキュリティ規定を確認してください。

もし、AIに情報を渡してもよい範囲内だとしても、念のため固有名詞や金額は「構造を保ったまま」置き換えておくのが、実務上の安全策です。単に消してしまうと、AIが「何についてのタスクか」を理解できなくなり、精度が落ちます。

悪い例(情報を消しすぎている)
> 〇〇株式会社のAさんに、△△プロジェクトの部品代として500万円を、10月15日までに振り込む。

良い例(構造を保って置き換えている)
> [取引先名]の[担当者名]に、[プロジェクト名]の[費用名]として[金額]を、[日付]までに支払う。

このように、情報の「種類(属性)」を残したまま、具体的な中身だけを記号化します。こうすることで、AIは「これは支払いタスクだ」「これは期限があるものだ」と正しく認識できます。

散らばった情報を一気にタスク化するプロンプト

材料が揃ったら、AIに「抽出」をさせます。ここで重要なのは、出力形式を最初から指定しておくことです。後でExcelに貼り付けることを想定し、表形式ではなく「TSV(タブ区切り)」で出力させるのがコツです。Markdownの表形式だと、Excelに貼り付けたときにセルが崩れることがよくあります。

以下の指示文(プロンプト)をコピーして、[ ] の部分を書き換えて使ってみてください。

# 役割
あなたは優秀なプロジェクトマネージャーのアシスタントです。

# 依頼内容
提供する「会議メモ」と「チャット履歴」から、実行すべきタスク、担当者、期限、および備考を抽出してください。

# 出力形式
Excelにそのまま貼り付けられるよう、以下の項目をタブ区切り(TSV形式)で出力してください。余計な挨拶や解説は一切不要です。項目名は1行目に配置してください。
項目名:タスク内容 [TAB] 担当者 [TAB] 期限 [TAB] 備考

# 制約事項
- タスクは具体的で、誰が何をすべきか明確な表現にしてください。
- 期限が明示されていない場合は「未定」としてください。
- 複数のやり取りにまたがるタスクは、一つのタスクにまとめてください。
- 確定していない事項は、備考欄に「要確認」と記載してください。

# 入力データ
## 会議メモ
[ここに会議メモを貼り付け]

## チャット履歴
[ここにチャット履歴を貼り付け]

抽出の精度を上げる「2つのアプローチ」の使い分け

情報を整理する際、「会議メモから作る方法」と「チャットから作る方法」のどちらが良いか迷うことがあります。私は、情報の性質によって以下のように使い分けています。

方法A:会議メモを主軸にする(構造重視)
会議で「何を決めたか」という大きな枠組みが決まっている場合、まず会議メモをAIに読み込ませます。これにより、プロジェクトの骨組みとなるタスクが漏れなく抽出されます。

方法B:チャット履歴を主軸にする(詳細重視)
「いつまでに」「誰が」といった細かい進捗や、会議後に発生した微修正などはチャットに溜まっています。会議メモで作った骨組みに対し、チャット履歴をAIに読み込ませて「不足している詳細情報を補完させる」使い方が効果的です。

結論として、「会議メモで骨組みを作り、チャット履歴で肉付けする」という二段構えが、最も手戻りが少ない方法です。

こうするとうまくいかない:よくある失敗パターン

私が以前、情シスの及川さんに教わった失敗例ですが、「とにかく全部まとめて」とAIに丸投げするのは禁物です。

具体的には、「コンテキスト(文脈)が壊れた状態で大量のログを渡す」パターンです。
例えば、チャットの履歴をコピーするときに、日付や発言者名が抜けてしまうと、AIは「誰が言ったことか」「いつの話か」を判別できなくなります。その結果、期限がめちゃくちゃな工程表が出来上がります。

また、AIが「いい感じにやっておいて」という曖昧な指示を、そのまま「いい感じにやる」というタスクとして抽出してしまうこともあります。
出力された内容に「未定」や「要確認」が並びすぎている場合は、プロンプトの「制約事項」に、「不明な点は、推測せず、必ず『要確認』と記載すること」と一言付け加えてみてください。

実践:Excelへの貼り付け作業

AIからTSV形式で出力されたテキストをコピーしたら、あとはExcelを開いて、貼り付けたいセルを選択して Ctrl + V。これだけで、各項目が綺麗に列に分かれて展開されます。

以下のサンプルのような形になっていれば成功です。

タスク内容担当者期限備考
[製品名]の試作見積もり依頼[担当者A][日付][取引先名]へ連絡
プロジェクト進捗報告書の作成[自分][日付]部長への報告用
[資材名]の在庫確認[田島]未定要確認

(※上記はイメージです。実際にはタブ区切りのテキストとして出力させます)

最後に

正直なところ、AIに丸投げしたからといって、そのまま部長に提出できる完璧な工程表が出来上がるわけではありません。AIは時々、日付を前後に読み違えたり、存在しないタスクを「もっともらしく」捏造したりすることがあります。

しかし、ゼロから手作業で書き起こすのと比べれば、AIが出してきた「たたき台」をチェック・修正する作業の方が、圧倒的に速い。

まずは、今日発生した小さなチャットのやり取りを、上記のプロンプトに放り込んでみることから始めてみてください。

さて、私もこの工程表を整えたら、溜まっている経理の小林さんからの問い合わせに返信しなければなりません。次は、この工程表から「遅延リスク」をAIに予測させる方法を試してみようと思っています。