メンバー全員の報告をまとめ、会議で話すべき「リスクと課題」だけを抽出する方法

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メンバー全員の報告をまとめ、会議で話すべき「リスクと課題」だけを抽出する方法

週明けの定例会議、あるいは週次の進捗報告会議。
手元には、メンバー数人から送られてきたチャットの履歴、共有スプレッドシートの更新ログ、そして数通の報告メール。これらを一つずつ読み込み、「結局、今週は何が問題で、何を判断すべきなのか」を整理する作業に、あなたは今、時間を溶かしていませんか?

「順調です」「特になし」「検討中です」といった言葉が並ぶ報告を読み進めながら、心のどこかで「本当にこれで大丈夫か?」と疑いつつ、結局、会議の資料には「各案件、概ね順調」としか書けない。これでは、会議はただの「報告のなぞり」になり、本来議論すべきリスクや課題が、会議が終わったあとに噴出することになります。

この記事では、バラバラな形式で届いたメンバーの報告から、AIを使って「会議で扱うべき異常値(リスク)」と「決断が必要な事項(課題)」だけを抽出する手順をまとめます。

「要約」をさせてはいけない

まず、一番やってはいけない失敗をお伝えします。
それは、AIに対して「メンバーの報告を要約して」と指示することです。

これをやってしまうと、AIは非常に「優秀なまとめ役」として振る舞います。
「Aさんは〇〇を完了、Bさんは△△を継続中、Cさんは問題なし」といった、誰も知らない「当たり前の進捗」を、丁寧な文章で出力してくれます。しかし、会議の議題として必要なのは、その「当たり前」の裏に隠れている「濁り」です。

以前、私も同じ失敗をしました。
メンバー全員のチャット報告をAIに「要約して」と投げ、出てきた綺麗なまとめをそのまま会議資料に貼り付けました。ところが会議中、部長から「そういえば、あの案件の部材、遅延してないのか?」と突っ込まれ、冷や汗をかきました。チャットの隅に「入荷が少し遅れそう」と書いてあったのに、AIが「順調」という文脈に飲み込ませて、要約から消してしまったのです。

会議で必要なのは「何が起きたか」の要約ではなく、「何が計画とズレているか」の抽出です。

リスクと課題を抜き出すためのプロンプト

では、どのように指示を出せばよいのか。
「順調なこと」は無視させ、「計画との乖離」や「不確実な要素」にだけスポットライトを当てさせる指示文が必要です。

以下のプロンプトをコピーして、報告内容と一緒にチャット欄に貼り付けてください。

# 目的
複数のメンバーからの進捗報告から、会議で議論すべき「リスク」と「課題」のみを抽出してください。

# 抽出のルール
1. 「順調である」「問題ない」といった、計画通りに進んでいる報告は無視してください。
2. 以下の要素に該当するものだけを抜き出してください。
   - 【リスク】現時点では問題ないが、今後遅延やトラブルにつながる可能性がある懸念事項(例:部材の入荷遅れ、リソースの不足、天候の影響など)
   - 【課題】すでに問題が発生している、または、誰かの判断や決定が必要な事項(例:仕様の未決定、予算超過、技術的な行き詰まりなど)
3. 抽出した内容は、以下のTSV形式(タブ区切り)で出力してください。

# 出力フォーマット
カテゴリ[TAB]内容[TAB]影響度(高/中/低)[TAB]必要なアクション

# 報告データ
[ここにメンバーからの報告文を貼り付ける]

※ `[TAB]` と書いている部分は、実際には「Tabキー」による空白(タブ文字)を意味します。AIは指示としてこれを受け取れば、適切にタブ区切りで出力してくれます。

社内データを渡す前の「情報の伏せ方」

AIにデータを渡す際、最も気を使うのがセキュリティです。
「会社の規定で、外部AIへの入力は禁止されている」という場合は、迷わずそのルールに従ってください。許可されている場合でも、固有名詞や具体的な金額をそのまま入れるのは避けるべきです。

ただし、単に情報を消すだけでは、AIは文脈を理解できず、精度の低い回答を返してきます。大切なのは、「情報の前後関係(構造)を保ったまま、別の概念に置き換える」ことです。

例えば、以下のように書き換えます。

「〇〇株式会社の△△プロジェクトについて、予算が500万円オーバーしている」
$\rightarrow$ 「プロジェクトについて、予算がオーバーしている」
(これでは、どれくらいの規模の、何のプロジェクトかが分からず、AIが影響度を判断できません)

「クライアントA社のプロジェクトXにおいて、予算が目標の1.2倍に膨らんでいる」
$\rightarrow$ 「顧客Xの案件Yにおいて、予算が想定の20%超過している」

このように、具体的な名称を「A社」「案件X」などの記号に、金額を「目標の〇倍」といった比率に置き換えるだけで、AIは「あ、これは予算管理上のリスクだ」と正しく認識できます。

Excelへ一瞬で貼り付けるためのTSV活用術

AIから出力された結果を、そのまま会議資料(Excelやスプレッドシート)に移す作業も、地味に時間がかかります。

AIに「表形式(Markdown)で出して」と頼むと、見た目は綺麗ですが、Excelに貼り付けるとセルが分かれなかったり、余計な記号が入ったりして、結局手直しが発生します。

そこで、先ほどのプロンプトでも指定した「TSV(タブ区切り)形式」を使います。

1. AIが出力したテキストをコピーする。
2. Excelのセルを選択し、そのまま貼り付ける。

これだけで、各項目が自動的に列ごとに分かれて入力されます。
もし、AIが「不明」や「該当なし」という文字を出してきたら、それは「抽出できるリスクがなかった」という貴重な情報です。無理に埋めようとせず、そのまま「特になし」として管理しましょう。

方法A(要約)と方法B(抽出)の使い分け

ここで、自分がどちらの指示を使うべきか迷ったときの判断基準を整理しておきます。

結論として、「会議の準備」であれば、迷わず方法B(抽出)を選んでください。 会議の目的は「状況の共有」ではなく「意思決定」であるべきだからです。

最後に

この方法は、AIにすべてを任せる魔法ではありません。
AIが抽出してきた「リスク」が、本当に現場で起きていることなのか、あるいはAIの読みすぎ(過剰反応)なのかを、最後に自分の目で確かめる工程は必ず必要です。

ただ、これを行う前と後では、会議に向けた準備の「思考の深さ」が全く変わってくるはずです。

さて、私もこのプロンプトを試して、明日の会議の議題を整理しておかなければなりません。といっても、抽出された「課題」に対して、どう指示を出すかという「本番」はこれからです。コーヒーをもう一杯淹れてきます。